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■■■■■ -ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク-
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■■■ のりこえねっと通信0223号2019年12月25日発行
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■ ◆転送歓迎◆
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★配信専用アドレス[ mailmag@norikoenet.jp ]よりお送りしております。

賛同者の皆さま のりこえねっと通信をお読みの皆さま
今年も余すところあと1週間となりました。皆さまいかがお過ごしですか。
12日に罰則付き川崎市の反ヘイト条例が成立し、また18日には伊藤詩織さんの民事訴訟裁判勝訴の喜びの声を聞くことができました。ヘイト・レイシズムの話題ばかり耳にしたこの1年の終わりに嬉しい知らせです。
NO HATE TVは今夜の放送でなんと77回を数えます。常に「今」起こっているヘイトネタに鋭い論鋒で迫る野間易通さん・安田浩一さんのお二人に感謝いたします。
また、辛淑玉共同代表の、ヘイト番組を制作するDHC・長谷川氏を訴えている継続中の裁判に関心を寄せてくださっている賛同者の皆さまにも感謝しつつ、のりこえねっとに応援、賛同、協力いただいているすべての方々とともにヘイトスピーチとレイシズムを乗り越えるために、一歩ずつ進んで参りたいと思います。

さて、本日25日午後8時からはのりこえねっとTV NO HATE TV 第77回「2019 ヘイト・クリスマス! 今年最悪のヘイト王決定戦」を放送します。
毎年恒例の年間ワースト10選出。また、テン年代(2009年から2019年)最悪ヘイト事件の発表もあります。どうぞご覧ください。

<今号の目次>
  1. 12月25日のりこえねっとTV「NO HATE TV」のお知らせ
  2. 反レイシズム情報
  3. ヘイト街宣・デモ警報
  4. 新聞・雑誌記事・Webより
  5. 12月11日放送 のりこえねっとTVダイジェスト
  6. 編集後記

1.のりこえねっとTV NO HATE TV 第77回

「2019 ヘイト・クリスマス!今年最悪のヘイト王決定戦」

https://youtu.be/W5WIiBEcRkQ

 毎年恒例の年間ワースト10選出。今年は2010年代の振り返りもやります!
 ほかにセカンド・レイパーが群がる安倍政権、群馬の森追悼碑訴訟、川崎反ヘイト条例などお送りします。
<出演者>
◆安田浩一(やすだ・こういち) ジャーナリスト。
◆野間易通(のま・やすみち) C.R.A.C.

【のりこえねっと】
公式サイト:https://norikoenet.jp/
Twitter:https://twitter.com/norikoenet
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【NO HATE TV】
Twitter:https://twitter.com/nohatetv
Facebook:https://www.facebook.com/nohatetv

2.反レイシズム情報

★集会・デモ・セミナー・上映会などのお知らせを掲載します。
HPのトップページにある『お問い合わせ』から 日時、会場、タイトル及び内容、主催者、主催者の連絡先などを300文字以内でお知らせ下さい。
https://norikoenet.jp/about_us/contact_us/

1)ふぇみ・ゼミ&あいトリ《平和の碑》撤去に反対する有志グループ共催

このままじゃ終われない!フェミニズムから考えるあいちトリエンナーレ「表現の不自由展・その後」中止事件

 ジェンダーやフェミニズムに触れる機会のすくない人たちに学びの場を提供する、ジェンダーと多様性をつなぐフェミニズム自主ゼミナール「ふぇみ・ゼミ」と、「表現の不自由展・その後」の中止反対署名運動を行った「あいトリ《平和の碑》撤去に反対する有志グループ」が共催で自主ゼミを行います。
《プログラム》
1.署名発足の経緯、提出まで
2.愛知県の市民運動とのつながりと署名提出
3.提出のサポートをしてくれた池内さおりさんから
4.これからの課題「表現の自由」だけじゃない!(プログラム変更の可能性あり

日時:12月26日(木) 18:30開場19:00~
会場:早稲田大学戸山キャンパス 33号館 325
料金:一般1000円、学生500円、ふぇみゼミ生無料
問い合わせ: femizemi2017@gmail.com
イベントページ: https://www.facebook.com/events/860107751071516/
主催:ふぇみゼミ~ジェンダーと多様性をつなぐ自主ゼミナール~

2)歴研シンポ 日韓の歴史葛藤をほどく─「徴用工」問題から考える─


日時1月12日(日)13:30~18:00
場所:早稲田大学戸山キャンパス36号館3階382教室
https://www.waseda.jp/flas/cms/assets/uploads/2019/09/20181220_toyama_campus_map.pdf
主催:歴史学研究会 共催:朝鮮史研究会

報告者:太田修「韓国大法院判決と再現する暴力について」
庵逧由香「朝鮮人強制動員の実態と「徴用工判決」」
金廣烈「韓国における強制動員真相糾明活動の経緯と意義」
コメント 外村大
参加費:500円(事前申し込み不要)

3)「在日」を生きてきて「―日本社会をおおう差別排外主義―」

鄭剛憲(チョン・ガンホン)さん講演会

日時:1月13日(月)14:15開場14:30~
場所:たんぽぽ舎 4F
会費:資料代800円
連絡先:スペース21 Tel FAX 03-3258-9649
会場アクセス:
https://www.tanpoposya.com/%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%82%BB%E3%82%B9/

4)第16回特別展『朝鮮人「慰安婦」の声をきく~日本の植民地支配責任を果たすために~』

展示期間: 2020年3月末まで 開催中
展示場所:アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)
〒169-0051 東京都新宿区西早稲田2-3-18 AVACOビル 2F
地下鉄東西線「早稲田駅」から徒歩5分
地下鉄副都心線「西早稲田駅」2番出口から10分
地図→ https://wam-peace.org/about/access
TEL 03-3202-4633/FAX 03-3202-4634
E-mail wam@wam-peace.org
URL http://www.wam-peace.org/
開館時間:水~日 13:00~18:00/休館日:月・火・祝日・年末年始
入館料:18歳以上 500円 18歳未満 300円 小学生以下 無料
※障がいのある方の付添いは無料です。

3.ヘイト街宣・デモ 警報

★★ カウンター行動(抗議行動)される際は十分お気をつけ下さい。★★
★★ 経験が少ない方は、複数での参加をお勧めします。 ★★
★★ 無告知のヘイト街宣にご注意ください ★★

1)遠藤修一反グローバリズム国際保守連合街宣

日時:12/26(木)19:00~
場所:新宿駅東口アルタ前

2) 遠藤修一 反グローバリズム国際保守連合 街宣

日時:2020年1月9日(木)夕方
場所:官邸前または議員会館前?
ツイッターで予告をしていますが、さて…。

3)道添隆寛(元在特会)街宣

日時:1/19(日) 14:00~
場所:所沢駅西口

#ヘイト行動情報
もし街中で見かけたら、このタグをつけてツイートしてください。以下の情報があるとわかりやすいです。
  • 場所(駅・交差点名、目印の建物など)
  • 人数がわかる全景写真
  • 団体がわかる幟や弾幕の写真
  • 弁士の顔写真

4.新聞・雑誌記事・Webより

1)「在日朝鮮人、詐欺師、借金まみれ」と沖縄でも誹謗中傷 川崎ヘイト条例「人権守る一歩」県内でも望む声

沖縄タイムス 12月13日

 ヘイトスピーチに刑事罰を科す全国初の条例が川崎市議会で可決・成立したことを受け、県内に住む在日韓国人や抗議活動を続ける男性らは「人権を守る一歩」と期待し、沖縄でも早期制定を望む声が相次いだ。
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/510052#click=https://t.co/NF9jD41F4j

2)京都市と意見交換〜条例などただす

解放新聞 12月16日
京都市との意見交換会を11月15日、職員会館かもがわでおこない、推進法の具体化や、条例、ヘイト対策を中心にただした。
http://www.bll.gr.jp/info/news2019/news20191216-2.html

3)安田浩一さんが語る 差別をあおる「ヘイトスピーチは社会壊す」

沖縄タイムス 12月16日

あつまれHENOKOと沖縄平和サポートは14日、「ヘイトスピーチとは何か~差別と偏見の現場を取材して」をテーマに、ジャーナリスト安田浩一さんを招いた講演会を那覇市古島の教育福祉会館で開いた。
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/510856#click=https://t.co/SOl9JeJF0w

4)保守速報 vs 維新の会」の戦いが勃発、差別的なまとめブログ一掃でネット浄化へ

BUZZAP! 12月18日

2018年12月には「対ヘイトスピーチ訴訟」で完全敗北して大きな話題となった、大手ヘイトまとめサイト保守速報。そんな保守速報が大阪維新の会に潰されそうになっていることを明らかにしました。
https://buzzap.jp/news/20191218-hosyusokuhou-ishin/?amp=1&__twitter_impression=true

5)「私は差別主義者でなく愛国者で善良」ヘイトがまいた差別の種、ネットからリアルに拡散

京都新聞 12月18日

「韓国の強姦(ごうかん)と売春の文化は世界中で既に有名ですね」。今年8月、奈良県安堵町の男性町議(61
)が、複数の差別的な文言をSNSに書き込んだ。
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/100716

6)朝鮮学校ヘイト、傷つけられた子どもたち 「全員が敵だ」日本社会に感じた怖さ

京都新聞 12月18日

2009年12月4日、校門の外で日章旗を掲げた男たちが暴れた。
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/100703

7)差別根絶条例意義学ぶ 制定表明の相模原市で講演会

神奈川新聞 12月19日

 全国で初めてヘイトスピーチに刑事罰を科す「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例(差別根絶条例)」をテーマにした講演会が22日、相模原市南区のユニコムプラザさがみはらで開かれる。
https://www.kanaloco.jp/article/entry-222382.html

8)公平性(Fairness、フェアネス)とは?

IT media 12月19日

 用語「公平性(Fairness)」について説明。機械学習モデルが不当な差別(人種差別/民族差別や、性別差別、文化差別/地域差別など)を引き起こさないように、不公平なバイアスを排除することを指す。
https://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1912/19/news024.html

9)他自治体から賛同の声 川崎市差別根絶条例

神奈川新聞 12月20日

 川崎市の福田紀彦市長は19日、ヘイトスピーチに刑事罰を科すことを盛り込んだ全国初の条例の成立を受け、県内の自治体から賛同が寄せられていることを明らかにした。
https://www.kanaloco.jp/article/entry-223502.html

10)在日コリアン女性「涙がとまらなくなった」「ゴールじゃない」 川崎ヘイトスピーチ禁止条例成立

弁護士ドットコムニュース 12月21日

 これまで全国のどこにもなかった刑事罰付きのヘイトスピーチ禁止条例が12月12日、川崎市議会で可決、成立した。
https://amp.bengo4.com/topics/10559/?__twitter_impression=true

5.NO HATE TV 第76回「日本人へのヘイト? あるかボケ」

https://youtu.be/ZXxhLyIxw-s

 伊東博文を暗殺した安重根(あん・じゅんぐん)の碑のある宮城県栗原市大林寺(だいりんじ)へ取材に行きました、と安田さんが話します。
 大林寺は千葉十七(ちば とうしち)さんの菩提寺。千葉十七さんは旅順でとらわれていた安重根の看守をしていて、心を通わせるようになり書いてもらった書を亡くなるまで拝んでいた。戦後になって宮城県知事が交流のしるし友情のあかしとして碑文を建てた。 今年になって碑の案内板が消えた。理由はネトウヨから抗議が来たから。同様の動きが全国各地で今起きている。高崎市でも「群馬の森」追悼碑を撤去しろという動きの中で裁判中です。
  • 軍艦島歴史否認

 世界遺産の軍艦島ですが、徴用された中国人・朝鮮人が働いていた事実をユネスコ報告書から全削除しました、と野間さんがハンギョレ新聞記事を示します。今の政府は隠す、消す、なんでも歴史修正癖から来ている。なんでも捨てて抵抗ない人たちが歴史事実も同じように捨てている。政府のバックにはネトウヨが。「国際歴史論戦研究所」https://i-rich.org/ で、メンバーは山本優美子、藤木俊一(テキサス親父)、藤岡信勝(つくる会)、藤井厳喜。国連に行ったりグレンデールで「恥を知れ」と言われたりしている人たちが軍艦島の件もやっている。官房機密費12億の中から出してる?と野間さん。

 国としてコミットしないとできないことをけっこうやっている。ジュネーブ、沖縄や人種差別撤廃委員会にも人を派遣している。物理的に歴史の書き換えをさせた成功体験がある。行政の承諾を得て繰り返している、と安田さん。

 軍艦島の件の国際歴史論戦研究所のスポンサーは今ヘイト裁判をやっているフジ住宅、と野間さんが言います。フジ住宅会長今井光郎の「今井光郎文化道徳歴史教育研究会http://www.imai-kenkyukai.or.jp/ 」を経由してたくさんの団体に助成金を出しています。要はアパホテルにしろ高須クリニックにしろDHCにしろ、金持ちのジジイがヘイトにはまって私財をなげうってる。ルーツをたどると「つくる会」「幸福の科学」などが混然一体となってカルトの力で歴史が書き換えられ続けている。

  • 西村斉罰金50万

 空地でのヘイトスピーチ街宣が朝鮮学校の名誉棄損と刑事告訴されていた西村斉に罰金50万円の判決。

 有罪判決は当然、と安田さん。判決文で唖然としたのは、「発言は北朝鮮の拉致問題の延長として公益を計る目的があった」とあったこと。ヘイトスピーチのどこに公益性があるのか。2009年朝鮮学校襲撃事件の判決は明確な人種差別と断定し、公益目的も否定している。裁判所の判断が後退している、納得しがたいと憤ります。

 2009年の時は威力業務妨害。「公益目的」を広く取りすぎているのと裁判官がウヨっているんだと思う。2009年朝鮮学校襲撃事件から12月4日で10周年。次回クリスマスNOHATETVでは年間最悪ヘイト王とテン年代最悪ヘイト事件を発表しますので、ハッシュタグつけてツイートしてください。テン年代は2009年から2019年までとします、と野間さん。

  • 兵士70人に1人の慰安婦!?

 共同通信が発表した内閣官房が集めた公文書の一つです。
 「陸軍側は兵員70名に対し1名位の酌婦を要する意向」「海軍は酌婦150名」「皇軍の(略)少なくとも当地に500の特殊婦女を集中し」「特殊婦女は軍用車に乗って南下」とあり軍の関与はない、というのは無理、と野間さん。

 軍管理以外のなにものでもない。「醜業を強いられ」とあり強制性が明確に記されている、と安田さんも言います。

 1993年の河野談話を裏付ける証拠、と野間さん。この四半世紀は河野談話をいかにして否定するかという試みをずっとやってきて失敗しつつあり今は引っ込みがつかなくなってぐちゃぐちゃ。河野談話は今も生きている、と語ります。

  • 日本軍慰安所マップ

https://wam-peace.org/ianjo/
 WAM(女たちの戦争と平和資料館)が慰安所マップをWEBで公開しました。実際の慰安所が韓国・日本に少ない理由は、そこは戦場ではないから。集中しているのは中国大陸・南方。クリックすると詳細が読めます。これは隠しようがない。是非見て活用してください、と野間さんが言います。
  • ムサシ!

 「ムサシ」という会社が選挙結果を裏で操作?しているという陰謀論です。現実的に不可能だということを取材しました、と安田さん。
 大元はリチャード・コシミズらしいです、と野間さん。僕ら馴染みがある。実はコシミズ氏は最初期のカウンターでした(笑)
  • 川崎市反ヘイト条例あす成立

 川崎市「差別のない人権尊重のまちづくり条例案」本会議はあした(12日)10時から。先着100席傍聴券配布。昼1時から会見です。2議員離席棄権の予定とか。
 スリーアウトで罰金50万。元になるのは「ヘイトスピーチ解消法」。本邦外出身者に対する不当な差別的言動をしてはいけないという法律に基づいた条例で、そこに罰則が付く。

 付帯決議案として自民党から「本邦外出身者のみならず、日本国民たる市民に対しても不当な差別的言動が認められる場合」案が出たが、修正されて可決したのが「本邦外出身者以外の市民に対しても、不当な差別的言動による著しい人権侵害が認められる場合」という案。

 ヘイトスピーチ解消法付帯決議においても、「『本邦外出身者に対する不当な差別的言動』以外のものであれば、いかなる差別的言動であっても許されるとの理解は誤りである」とあり、ネトウヨは、自民党がヘイトスピーチ解消法に対して頑張って付帯決議を付けたと思っているようだが、有田芳生らによる悪法を阻止するための付帯決議だったとは理解できていないらしい。法律は難解、付帯決議も難解でネトウヨにわかるわけない、と野間さん。

 委員会での小野田紀美議員の発言と森まさこ法務大臣の答弁の映像を見て「驚きです」と安田さん。付帯決議のできた理由と経緯の何の知識もないんだろう。有田芳生大絶賛の演説ですね、と笑います。

 ヘイトスピーチ解消法附帯決議の「『本邦外出身者に対する不当な差別的言動』以外のもの」を日本人へのヘイトスピーチと理解しているようだが、日本国籍の異人種・異民族(アイヌ・アフリカン、ハーフその他)や、性的少数者・女性・障害者・被差別部落出身者等を想定した上での付帯決議なんです、と野間さん。もちろん日本人に対する差別ですが、民族的な話ではない。小野田さんは全然間違ってる。森まさこもその辺を説明してないから、二人とも法律の意味、付帯決議がなぜ付いたか全然わかってない。

 小野田さんの質問の仕方が間違っている。「日本人に差別的な言動をしてもいい」などとはネトウヨしか言っていない。マイノリティが日本人に言ってもヘイトスピーチではないのに、難しいのは「なぜ平等でないのか」と思ってしまうから。ネトウヨでなく知識のある人でも「属性によって悪口をいうこと」くらいの知識なのでは?
 人種差別撤廃条約の定義での「あらゆる区別、排除、制限または優先」の解釈をちゃんと言う人がたくさん必要では。「優先されてる」「制限されてる」の前に権利が制限されてるとかの実態がまず必要。そこの説明をしないと全然日本人はピンと来ない、と野間さん。

 社会的な力関係が前提とならなければおかしい。小野田さんがアパルトヘイトの例を出しているが、数の問題ではない。社会的な不均衡が生じた場合に差別が生まれるということを明確に言わなくてはいけない、と安田さん。

 現実に起こっていることに即したものでなくてはいけない、と差別構造の概念図を示しながら野間さんが説明します。
 マジョリティである日本人から少数者である在日に対しての差別の図、 数は同数でも女性の権力や権利の強さが弱い場合差別は男性から女性に向かう図を示します。アパルトヘイトは人数の少ない白人から権力や権利に弱い立場の多数の黒人が差別されるという図になります。数の多さよりも権力関係を軸に見るべき。マジョリティ・マイノリティの定義も社会的多数者・社会的少数者と言わなければいけないし、力関係も入っていることを誰か社会学者の人に声高に説明してほしい、と野間さんが言います。
 多民族国家の場合は複雑。白人至上主義の人の主張は日本人ヘイトスピーチがあるという主張の人とまったく同じ。権利が侵害されている、と。
 ネトウヨや極右の言う日本人差別は架空。小野田さんの言う「日本人を差別・侮辱することを容認したい日本の議員の存在」はどこにもないんです。外国人や少数民族が差別されることから守りましょうという法律だから、そもそも「立法事実」がない。「立法事実」とはこういう問題が起きているのでそれを解決するために法律を作りましょう、ということであって、実際に起きているかどうかがまず大事。立法事実がないから条例作れない、と野間さん。

 単なる罵倒をヘイトだとしてしまう論調にはちゃんと指摘しないと、と安田さんが言います。

 100年かかると思う、と野間さん。「日本人ヘイト」と言うことはそれ自体がヘイトスピーチなんだと。「日本人に適用されない法律を作るのは日本人を差別して外国人を優遇している」という物言いは、在特会の理論そのまんま。「『入管特例法』という朝鮮人だけ特例にしたのは日本人差別である」というのが彼らの理屈で、だから在日特権と言ったわけだ。
 小野田さんとかリベラル系冷笑系とか日本人差別を禁止した方がいいという人は結構いる。
 結論は、ネトウヨや自民党の言う「日本人へのヘイト」「日本人差別」は、かつて在特会の言っていた「在日特権によって日本人が差別されている」と全く同じものである。
 「日本人を差別している特権法」という考え方はすっと受け入れられやすいから、と野間さんが話します。

 メディアで活字として初めて見たのは、2015年の護憲集会で大江健三郎が首相を安倍と呼び捨てにしたのを産経新聞が「ヘイトスピーチそのもの」と書いたこと。すごい違和感を持った、と安田さん。それがあいちトリエンナーレの表現の不自由展を巡ってまた復活。「天皇や日本人へのヘイトを表したとか言いようのない展示だ」12月にも「朝日はヘイトを許すのか」と見出しに入れた。

「日本から出て行け」ですらない自分たちとの価値観のちがうものをただ「日本へのヘイト」と言っているだけ。河村たかしも「日本の心を踏みにじるものだ」と。河村は「ヘイト」という言葉を全然つかってないんですよ、産経の記事はヘイトスピーチとは一切関係のない話。小野田さんの想定しているものも同じだと思う、と野間さん。

次回は12月25日でNOHATEクリスマス。
#2019年最悪ヘイト王(人名)#テン年代最悪ヘイト事件(事件名)で候補をお寄せください。
お待ちしています。
(まとめ・文責:のりこえねっと事務局)

6.編集後記

 今年もあとわずか。今年最後ののりこえ通信をお送りします。毎号長い重い通信にお付き合いいただき感謝いたします。長すぎて読み切れなくても、のりこえねっとのサイトでバックナンバーがすべて読めます。そちらも覗いてみてくださいね。どうぞ穏やかな年末と新年をお迎えくださいますよう。(お)
★メールアドレスのご変更、配信停止、お問い合わせ等は下記フォームよりご連絡下さい。
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