Q1 ヘイトスピーチって何ですか?
さまざまな定義がありますが、一言でいうとマイノリティを標的とした差別扇動表現のことです。
人種、国籍、民族、宗教、性的指向など、ある属性を有するマイノリティ集団に対して、貶(おとし)めたり暴力や差別行為を扇動したりするような、ヘイト(憎悪・嫌悪)に基づく侮辱的表現を行うことをいいます。
ヘイトスピーチには、演説や発話だけでなく、絵や映像表現、デモ行進、特定の場所で特定のシンボルを掲げることなど、表現的行為全般が含まれます。
Q2 ヘイトスピーチと差別語や差別表現には、どのような関係があるのでしょうか?
日本語には、目上の人との関係に基づく表現として、「尊敬語」(例:お越しになる)「丁寧語」(例:行きます)「謙譲語」(例:参ります)などがあります。
その対極にあるのが、「不快語」で、その中の一部として「差別語」があり、また、差別語を使っていなくても差別表現となる場合があります。
差別語は、歴史的経緯があり、今もその問題が続いている対象を蔑んだりするときに使われます。
例えば「チビ」「デブ」などは不快語ですが、「びっこ」「エタ」「チョン」「めくら」などは差別語です。
「それじゃまるでエタみたいだね」という差別表現を「それじゃまるで被差別部落の人みたいだね」と言葉を変えてみても、差別表現であることは変わりません。差別語を直接使っていなくても、その対象を否定的な文脈の中で表現している場合は差別表現となります。
そして、マイノリティを攻撃しようという悪意を持って差別表現を使い、差別を扇動する行為がヘイトスピーチです。とりわけ、出自などの変更できない属性をターゲットとしたヘイトスピーチは、最も悪質なものと言えます。
Q3 ネットや街頭で掲げられたプラカードでよく見かける「在日特権」とは何ですか?
在日特権などというものは存在しません。悪質なデマです。
在特会などのレイシスト集団が非難する「在日特権」には、特別永住資格、通名制度、年金や生活保護の受給などがあります。しかし、たとえば特別永住資格は、もともと大日本帝国臣民として日本国籍を持っていた旧植民地出身の人々が、戦後は一方的に外国人とされた上、国籍がないことを理由に様々な制度的差別を受けてきたという歴史を踏まえ、在日韓国・朝鮮人やその子孫の法的地位をできる限り安定させるために、1991年に平和条約国籍離脱者等入管特例法によって認められた制度であり、これを特権と呼ぶのは大きな間違いです。
他の「特権」も同様に、ないものをあるというデタラメをもとに在日韓国・朝鮮人への憎悪を不当に扇動するものです。詳細については、たとえば2013年に刊行された『在日特権の虚構』 などをお読みください。