反レイシズム市民講座

「差別」とは何か、「レイシズム」とは何か。どこで学べばいいのか。
2013年をピークとした「在特会」によるヘイトデモで叫び放たれたヘイトスピーチ「良い韓国人も、悪い韓国人も殺せ」は、8年後、見事に社会に定着し大衆の暴力となって現れました。
2021年のウトロ連続放火事件は、かつての民族団体や民族系信用金庫といったランドマークをターゲットにしたものとは本質的に異なり、「在日」「旧植民地出身者とその家族」が暮らす、生活の場を狙い“火”を放つものでした。その衝撃はあまりにも大きく、「自宅の表札を隠した」「クリーニングを出すときも通称名に変えた」「病院で民族名を呼ばれたとき、返事ができなくなった」などの声が、日本各地に暮らす旧植民地出身者とその家族から届くようになりました。
残念ながら、憎悪を増殖する「嫌韓」「嫌北」「嫌在日」の情報はネット空間に増殖し、社会に吹き出してきています。ネット空間では、すでに根拠のない虚報として決着がついたはずの「在日特権デマ」も繰り返され、何か犯罪が起きれば「日本人はこのようなことはしない」というコメントがあふれます。安倍首相が銃撃されるや「犯人は在日」というデマが飛び交い、それが日本人らしいとわかると「帰化している」と変化し、犯人の氏名が明らかにされるや「在日であってほしかった」とのコメントが溢れました。今日も、ヤフー・コメントはヘイトであふれています。そして、この、ヤフコメからウトロ連続放火事件やコリア国際学園への襲撃事件が生まれたのです。
この流れを止めなくてはなりません。そのためには、学ばなくてはなりません。「知」の力を取り戻したいのです。私たちは、そんな「知りたい」と願う人たちの声にこたえるべく、本講座をスタートいたしました。
これらの講座は、みなさまの支援で収録・配信されています。 ぜひ、カンパのご協力もお願いいたします。


【基礎講座】講師:前田朗

差別は社会を壊す。ヘイトは人を傷つけ、民主主義を壊す。ヘイト・スピーチを刑事規制するのは、人間が人間であるための必須条件。人として認められる権利と人間の尊厳を尊重し、ふつうの社会を作るための最低条件を説くヘイト問題基礎講座です。

【発展編】講師:のりこえねっと共同代表

田中宏「長い時間軸で考える日本の入管体制」(全6回)

戦後の在日朝鮮人差別や在日外国人差別の歴史を、田中先生の個人的な闘争史を通して語っていただきました。指紋押捺、BC級戦犯、高校無償化、そして入管問題のその始まりなど。

  1. 戦前~敗戦期
  2. 未完の占領改革~帝国臣民から外国人へ
  3. 「国籍喪失」問題~入管闘争の中で改正案が廃案
  4. 「ベトナム難民」の衝撃~国際人権基準の受け入れ
  5. いびつな外国人労働者の受け入れ
  6. 日韓外相会談、日朝平壌宣言以後〜教育差別を中心に

田中優子「江戸時代から見た日本型レイシズム」(約80分)

日本が近世から近代へと移行する過程で、日本のレイシズムがどのように誕生し、形成されたのか。日本の近世社会にみられる他民族に対する意識がどのようだったのか、朝鮮人とのかかわりの中で語っていただきました。


中沢けい「表現の自由とレイシズム」(約47分)

ヘイト・スピーチの規制を求めると、判で押したように「表現の自由」というお題目が出てきます。権力と対峙した関係での表現の自由と、横の関係での表現の自由、そして被差別側の表現の自由をどのようにとらえればいいのか。日本にとっての表現の自由は一体何が問題なのかを語っていただきました。


宇都宮健児「反レイシズム法制のあるべき姿」(約47分)

ウィシュマさんを殺した入管緒体制をはじめ、この国では、民主主義のルールそのものがない。差別を禁止するという、あたりまえの法律が、なぜ、日本では強固に反対され、成立しないのか。その障害はなんなのか、さらに、どのような法制度が必要なのかを語っていただきました。