荒野に種をまく/安田純平 X 布施祐仁 X 池田幸代

安田純平(やすだ・じゅんぺい)

1974年生まれ。一橋大学卒。信濃毎日新聞記者を経てフリー。イラク、シリア、アフガニスタンなど取材。07-08年、民間人が戦争を支えている実態をイラク軍関連施設などで料理人として働いて取材し「ルポ 戦場出稼ぎ労働者」(集英社新書)を著す。12年、シリア内戦取材。15年、シリアで武装勢力に拘束され、18年、40カ月ぶりに解放。近著にいずれも共著の「自己検証・危険地報道」(集英社新書)、「戦争取材と自己責任」(dZERO)。

布施祐仁(ふせ・ゆうじん)

1976年生まれ。ジャーナリスト(専門は平和・安全保障問題)。『日報隠蔽 南スーダンで自衛隊は何を見たのか』(共著、集英社)で2018年度の石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞を受賞。主な著書に、『日米密約 裁かれない米兵犯罪』(岩波書店)、『経済的徴兵制』(集英社)、『ルポ・イチエフ 福島第一原発レベル7の現場』(岩波書店=平和協同ジャーナリスト基金賞、JCJ賞を受賞)などがある。

池田幸代(いけだ さちよ)

1972年生まれ。駒ヶ根市議会議員。高校時代に高校生平和ゼミナールで、陸軍登戸研究所の研究員から戦時中の体験を聞く。大学4年時から東京の山谷や新宿で野宿を余儀なくされている人たちの元に通い、貧困を生み出す社会構造に気づく。福祉業界紙記者を経て、政治の道へ。参議院議員秘書や衆議院議員秘書として、政治と社会運動の現場を結びつけるべく働く。国会議員政策秘書資格取得。地元に戻り、登戸研究所調査研究会の活動に加わり、2019年の統一地方選で初当選。

■番組概要

 今の日本社会が荒野なのだと意識し、実感している人はそう多くはないのかもしれません。

 でも、一方で何かが確実に劣化している、と気付く人たちは少しずつ増えているとも感じます。

 今の社会をもう少し生きやすく、暮らしていかれる社会に少しでも変えていきたいと願っているあなたと繋がっていく番組にしたいと思っています。

 自分の判断材料になる真っ当な報道、現場から発信される声、人間味のある視点、自分が関われる具体的なアクションプランなどにアクセスしたいと思っている人が全国にいる、と実感したのは、自分が3年前に首都圏から地方に戻って地元で活動し始めてからです。

 20代はじめから山谷や新宿で野宿を余儀なくされる人たちのところにボランティアとして通ってきました。

 失業や貧困は社会構造で生み出され、制度や社会システムが後追いになるからこそ個人の困窮として立ち現れてきます。

 でも、一人ひとりの声を聞き、タペストリーのようにそれを織り上げていくと、自己責任などではないことがよく分かりました。

 今回、ご一緒に番組を作って下さるのは、ジャーナリストの布施祐仁さんと安田純平さんです。
 
 布施祐仁さんはかねてから自衛隊の取材を継続してこられ、南スーダンPKOの日報を隠していた防衛省から情報公開で入手し、国家の隠したい不都合な現実を暴露したジャーナリスト。

 安田純平さんはこれまで各国の戦場に実際に行き、そこで生きる人たちの姿を取材してこられました。軍隊が実際に他国にいかなくても安全圏からドローンなどによる攻撃ができてしまう時代に、そこで暮らす人たちの声を託されてきたジャーナリストです。

 日本では今、国家が不都合な現実を隠蔽するために必死になっています。

 日本国憲法を変えるという首相の目的は毎年の予算で防衛費を増額し、再軍備を進め、戦争に突き進む準備は着々と進んでいます。

 また、既に戦争や虐殺の方程式はここ日本でも見られます。

  1. 歴史修正主義の台頭やヘイトスピーチ
  2. フェイクニュース
  3. 情報隠蔽

 私たち一人ひとりが国家の嘘を見破るための情報を得て、差別を許さない人々のネットワークを強め、各地で政治プレーヤーを変えるための行動をしていくことそのものが荒野に種を撒く作業です。

 その地道な作業を皆さまとご一緒できれば、こんなに嬉しいことはありません。

駒ヶ根市議会議員 池田幸代